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再会
『いやだよ!なんで、とおくに行っちゃうの?』
「パパのおしごとで…」
『だったら、みおちゃんだけ残ったらいいんだよ!
ねぇ、ママ!!!』
桜の蕾が膨らみはじめ、あと少しで咲く頃の季節は、別れと出会いの季節。
『仁…わがまま言わないの!!美桜ちゃんだって悲しいのよ?』
『でも!!』
「じんくん…大きくなっていつか、また…あったらその時はけっこんしようね!」
『…うん。ぜったいけっこんする!
みおちゃんと、いつか、また…あうもん。』
-ピピピッ-
「わ…夢…」
最近、あの夢をよく見る。
5歳の時に交わした約束。あれから16年が経とうとする今も私は忘れてはいない。
でも、仁君は忘れてるかも知れない。
それに5歳の子供の約束なんて当てになるのかすら微妙な所。
今、あの約束をした季節と同じ頃。
この春から私は社会人になる。それをきっかけに、あの頃住んでいた街に戻ってきた。
いつか、また…
を信じて。
ほんの少しの可能性でも信じてみたいって思った。
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