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…此処は、世間ではロンドンと呼ばれている。
煉瓦の並んだ道路に陽気な人たち…とても穏やかな町だ。
色々なお店が連なっている場所もあり、そこには大きな噴水があった。
そこで私は、いつもパフォーマンスを繰り広げていた。
そして今日も…この快晴の中、芸を披露している。
「此処にございますのは…小さなボールであります」
手に持っているのは片手で3つずつ持てる小さなソフトボール。
それらを同時に空へと投げるとボール達はそれぞれ違う方向に飛んでいく。
誰もが何処に投げているのだと笑っていたが、私はそれを横目に笑い、自分の中にある力を念じた。
「わぁっ!浮いてるっ!」
一人の子供が指差したのと同時に、観客たちは驚愕の声をあげる。
それもそうだろう。普通ならばボールは重力で落下してくるが、力を行使したボールたちは落ちることはなく、綺麗に輪を描く。
「タネも仕掛けもございません!感動された方々はこちらにお布施を─…」
ミニスカートの裾を軽く持ち、礼儀正しく頭を下げ、被っていた赤い薔薇をあしらっているシルクハットを観客たちに差し出し、お布施を頂くところだった。
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