75人が本棚に入れています
本棚に追加
宙に輪を描いていたボール達はバランスを崩し私の頭へと落下。
「あてててっ」
軽い音をたててボール達は頭に直撃したあと地面へと転がった。
ボールが頭に落下したと同時に観客たちは大笑い。
「あははは!相変わらずだなぁ。ほら、頑張れよ!」
最後の最後で力が抜け、失敗し、誤魔化して笑って見せると観客の一人はそう言って銀貨を一握り、私のシルクハットへと手離してくれた。
それを始めに、次々と観客たちはお布施をシルクハットへと入れてくれながら口々に応援の言葉を私へと送ってくれた。
この町の住民たちは失敗しても笑って応援をくれる。
私の…愛してる町だ。
「…また失敗したわね」
観客たちが去って行き、遮られた背景が姿を現すと、此方に話し掛けて来たシンプルなメイド服を纏った一人の少女。
「リーチェ!3日ぶりね☆」
「ええ…3日ぶりね、エミッシュ」
肩までの黒の艶やかな髪に綺麗な赤をした瞳、ふくよかな胸…それがリーチェ。
私の幼なじみで、姉妹…双子…いや、自分の半身のようなとても大切な存在だ。
.
最初のコメントを投稿しよう!