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俺の母さんは某大手商社の社長秘書をしている。
時々、忙しくなり泊まりこみで働くことは珍しくない。
父さんは今、家にいない。
……まあ、家庭の事情ってやつだ。
「はぁー。冷たいなぁー」
食器を洗い終え、つい俺は呟いた。
まったく。
なんで冬の水はこんなに冷たいんだろうか。
外が寒いからだろうか?
……でも、今の技術ならば水をここまで冷たくなるのを防げるんじゃないだろうか。
そんなバカな事を考えながら食器をふき、棚にしまう。
壁に掛かった時計を見ると7時30分だった。
少し早いが、風呂に入るとしよう。
リビングの隅に置いているストーブを切り、廊下に出る。
「うわっ。 さっむー」
暖房のあるリビングと違い、廊下は震えるほどに寒い。
俺は早足で風呂場に向かった。
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