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真っ暗な闇の中、俺はただひとりポツンと佇む。
押し寄せる緊張をただグルグルと自分の中に巡回させ、集中していく。
俺やメンバーを呼ぶ声はがフィルターがかかったように遠く小さくなる。
ずっとかかっていた俺達の曲がフェードアウトして小さくなる音に反比例して、歓声は一気に大きくなる。
きっと今は、ステージに取り付けられた巨大スクリーンでは俺達tagの姿が映しだされているだろう。
高まる鼓動を聞きながら、俺は登場のタイミングを待つ。
「タツヤさんお願いします。」
スタッフさんの声に静かに頷き返す。
次の瞬間、鳴り響いていた音楽が止み、俺の足元の床が一気に競り上がる。
奈落から射出された身体は、一気に光の下へと踊り出す。
tag ラストツアー in 武道館
俺にとっての最後のステージの幕が上がる。
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