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「お疲れ。」
俺は、思わずモニターに戻そうとした顔が止まる。
薫の顔は口を突き出し、不服そうな顔をしている。
「いや、何でもない。」
俺は、また顔をモニターに移す。しかし、薫が俺に挨拶するなんて異常事態に俺の頭はクエッションマークで一杯で、悟士の歌が頭に入って来なかった。
俺は、ボーっとモニターを見ていると俺の隣に薫が座る。
「俺はな。結果出してる奴は、ちゃんと認めるんだよ。」
その言葉に俺は、再度薫の方を向く。
「俺は、何でも言うことだけ聞いて、合格点を積み重ねてる奴なんて俺は、認めない。」
心辺りがある俺は、胸の奥をギュッと捕まれたような感触を味わい、つい俯いてしまう。
「でも、今のお前は認めてやるよ。俺がこのグループを辞めるのを勿体ないと思ったくらいだからな。」
目頭が熱くなり、俯いているため見えていた床が徐々にぼやけていく。
いつから俺はこんな涙脆くなってしまったんだろうか。格好悪いから止めたいのだが、止められない。嗚咽まで出てしまう始末だ。
「バーカ。早く着替えろよ。」
顔を上げた先には、すでに着替えた薫が立っていた。
「ステージで待ってる。」
そう言って薫は部屋をでていった。
糞。アイドル辞める決意が揺らぐじゃないか。
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