君の下まで

2/5
1234人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
私は最高にドキドキしている。 今日の彼は、今までとは少し違う気がする。 なんだかすごく楽しそうなのだ。私はこれが彼を見る最後だと思うとなんだか涙だって出てきてしまいそうなのに。 私は今、tagの武道館ライブに来ている。 私は、もちろんチケットは自分で購入済みだったんだけど、取れたのは後ろ方の席、少し残念に思っているとそこに突然送られてきたタツヤからのライブチケット。チケットに同封された手紙によれば、この間の学校での屋上のお礼ということらしい。 送られて来た時は、何がなんだかわからなくて、一時間以上その場で呆然としてしまった。 送られて来たチケットの席はかなり前の方の席。迷わず私は、タツヤのチケットを使って武道館に入ったんだけど、VIP席というかなんというか、関係者ばっかりで戸惑ってしまう。 目につく人の中にはなんとなく知っている芸能人もちらほらと見えるのだ。私はここでどう見ていればいいのだ。 でも、そんな不安は関係なかった。ライブが始まるとすぐに私はtagの世界に引き込まれてしまったから。 やっぱりいつもと違う。いつものタツヤは無表情というか淡々とこなすイメージがあったのに、本当に楽しそうに今日の彼は歌うのだ。 耳に入って来る歌声に脳の中まで彼だけに染められてしまいそうな甘い響きがする。 あーもう!鼻血が出そうなくらいヤバイ!!
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!