君の下まで

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「ごめんね。着替えるの手間取って遅くなっちゃった。」 そう言って悟士が客席に手を振ると、また歓声が一段と大きくなる。 「そうだぞ悟士。こうやって三人でファンの皆で話せる機会は、これで最後なんだしな。」 薫の言葉に、客席から「辞めないでー」と多くの声が飛んで来る。 辞めたくないな。こうやって時下に反応を見て聞くと決意がまたガタガタと揺れる。 横を見ると、薫も悟士も客席をじっと見ている。それは、何か感情を押し殺すような真剣な表情だった。 三人でこのままずっと続けて行く事を期待されているのに、それに答えられない。 解散を言い出した薫もそんな気持ちなんだろうか。 ファンの皆の声が響くだけの空白の間が、数秒だろうかどれだけの時間があったかはわからなかったが続く。 その空白の時間を終わらせたのは、当然薫。けれど、それは予想外な形だった。
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