プロローグ

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 なんでも、人の運命というのは産まれた時から決まっているそうだ。まだオレがガキの頃、それを聞いたときただ漠然とそうなんだな、と思っていただけなのだが、今になって考えてみるとあれは嘘っぱちだな。  まぁ、少なくてもオレにとっては嘘であり、世間一般には正しいのかもしれない。だが、オレに起こった出来事を運命なんていう安っぽい言葉で片づけることができるのなら、この世界にはびこる不幸を全部それでかたがつく気がする。  回想しよう。  オレは一年前に女神と魔女に告白された。女神と魔女と言えば、この世界の秩序を司る存在、いわば世界そのものとも言ってもいいかもな。  聞くところによれば、この二人は大の仲良しで風呂も一緒に入る仲らしい。  なんだそりゃ。  彼女らに憧れる種族は数知れず、みんなの尊敬の的だ。  やれやれ、そんな二人が何でオレに告白なんだろな。  今まで会ったこともなければ話したこともない、あの日に目が合ったのが初めてだった。一目惚れというやつだとしたら、オレはとことんそれを呪いたいね。       
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