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気付いたらもう大晦日。
クリスマスには結局雪は降らず、今俺は沙雨那と一緒に除夜の鐘を撞きに来ている。
隣には西園寺。
奴の親が寺院の住職さんなんだってさ。
んで特別に除夜の鐘を撞かせて貰ってる訳。
いいのか俺達が撞いて。
んで今98回目を撞いた訳だ。
後10回。
……しかしまあ寒い。
そして耳も痛い。
とか言いながら撞いてる俺。
「翔、107回目になったら俺に貸せよー」
西園寺を墓場に埋めたくなったよ。
とか言いながらも後7回。
今日は綺麗な星空だ。
蕎麦も食べたし、鐘は撞けるし。
いい日だな、今日は。
とか言いながら後4回。
「お兄様、最後の1回はどうします?」
傍らにいる沙雨那が俺の服(何故か浴衣)の裾を引っ張って言った。
何故か浴衣着せられました。
浴衣着る物じゃないでしょこれ。
「じゃあ皆で撞くか。おーい、西園寺ー」
俺は哀れな西園寺君に助けの手を差し伸べてあげた。
さあ後2回だ。
特徴的な鐘の音が鼓膜に響く。
「よし、俺の出番だな」
西園寺は光の速度に勝てそうな程速いスピードで俺の許に来た。
さあ後1回だ。
時刻は23時59分。
そして今、今腕時計の長針が完全に12を指した。
「A Happy New Year!」
俺は思い切りそう叫び最後の1回を皆で撞いた。
鐘の音と共に新年が始まった。
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