第一章 危険な新作

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「まだそんな事を言うのか!譲る訳ないだろう。誰か他の人間に譲るのもいいかもしれない。とにかく、もう今後私と楓には関わらないでくれ!縁を切ってしまおう。いいじゃないか、ヨーロッパでは活躍は続けられるだろ。」 大神に見放された雨宮は、自分の失敗が招いた事実を受け止められずにいた。 「待ってください。お願いします。」 雨宮は去ろうとする大神の腕を掴んで懇願した。 これまで積み上げた物を崩したくなかった。大作曲家の新作と愛らしい恋人、どちらも失う訳にはいかなかった。 しかし、大神は腕を振り切り突き飛ばした。 「今日は演奏を聞いてやるんだから。それでいいだろう。」 大神は尻餅をついた雨宮を見下して言い放った。そして背を向け、ドアノブに手をかけた。 その時、雨宮は大神を睨みながらテーブルの灰皿を掴んだ…
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