運命

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ドアを開けると、秋の乾いた風が入ってきた。 やだぁー! こっち来ないでよ!! 汚いわぁ! あははっ! きっと捨て猫よー どこから来たのかしらねぇ ミャァー!! ミャァー!!! 隣りの家の前で井戸端会議でもしていたのか3人の主婦が目に入った。 と同時に・・・ 灰色の小さい者が、ゆっくり・・・ゆっくり・・・フラつきながら、その井戸端会議をしている主婦に近付いて歩いてる。 お母さん!! 昨日の子・・・! とっさにドアを閉めてしまった。 居間に駆け込んでしばらく考えた。 どうしょう・・・ どうしたらいいんだろう・・・ 短い時間の間に多くの事を考えた。 今家にいるもう一匹の猫の事。 捨てられた猫を飼う大変さ。 あたしもう無理!! 妹が玄関に走って行った。 そう、 そうなんだ。 今目の前で消えかかった命がある。 その命を助ける事に比べたら、私が考えてる事なんてどうでもいい事なんだ。
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