天使の涙

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「今日は・・・セイラン様の誕生日だから・・・だから、ここに来たかったんです。」 誕生日・・・?自分でもすっかり忘れていた。 笑わないで下さいね、と前置きして、アンジェは言葉を続けた。 「私の一番大切な人が生を受けた日です。生まれてきてくれてありがとうって事は毎日、直接伝えてます。でも、セイラン様のお母様が今日という日にセイラン様を産んでくださったから、この惑星で生きてくださったから、そして、この屋敷の方がセイラン様を育ててくださったから、私はセイラン様と出会えたんです。だから、今日ここに来て、その事に感謝を捧げたかったんです。」 誕生日は、母になる存在に感謝を捧げる日。そんな考え方、したことはなかった。 全く・・・。本当に君は天使だね。僕の心をその穢れを知らない微笑みで奪っていく。 そう、君を好きになったきっかけは、その偽りない優しさを知ったからだったね。 君への愛しさは際限を知らない。胸の奥と瞼の熱さを自覚した途端、衝動的にアンジェを抱き締めた僕は、奪うように唇を合わせた。驚きながらアンジェは、ゆっくりと僕を抱き返してくる。どのくらいそうしていたのか。
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