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「あら、レイチェルいらっしゃい」
当然のように僕の恋人は訪問者に返事を返す。
アンジェは一日の大半を僕の部屋ですごしている。
レイチェルもほとんど彼女に会いに来ているようなものだ。
「今日の用事は?」
尋ねた僕にレイチェルは満面の笑みを浮かべたかと思うと、
「今日はデートのお誘い。アンジェ借りていきますねー!」
言うが早いか、アンジェの腕を掴んで部屋から出ていってしまった。
止める暇もあればこそ。
後には呆然とした僕だけが取り残された。
「またさらわれたんですか?」
隣の執務室のティムが苦笑しながら顔を出した。
「入室を許可した覚えはないよ」
自分でも不機嫌とわかる声で棘のある台詞を吐く。
「いつもはセイランさんが席をはずした時を狙って来てらしたのに」
「ティム、もしかして、今までアンジェが連れて行かれるのを見て見ぬ振りをしていたのかい?」
「僕は学芸館から去っていく二人を窓から見かけただけですから。それはそうと、僕はこれを届けに来たんです。新宇宙のデータです。この分だと、レイチェルが女王になるのは、二週間後くらいになりそうですね。」
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