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アンジェが戻ってきたのはその日の夕方近くなってから。
あからさまに不機嫌になっている僕におどおどしながら訪ねてくる。
一人は嫌いじゃないけど、君を見つけてからは、独りは嫌だ。
・・・違う。君が僕の目の届かないところにいるのが嫌だ。
いつでも君の存在をこの目で確かめていたい。
そう思っているけど、素直に言葉にならない。
「レイチェルだから、許してあげるよ。僕以外の男について行ったら絶対に許しはしないけどね。」
「そんなことはしません!」
顔を真っ赤にして力説する彼女を見てると、とても怒りが持続しやしない。
かるくアンジェの腕を掴むと、自分の胸に引き寄せる。
「うん。信じているよ。でも、僕をほっといた償いはしてもらわないとね。・・・今日は帰してあげない。」
新宇宙の育成も順調に進み、予定通り女王就任が決まりそうだった。
レイチェルとの牽制が続く毎日。いつも通りまた一日が過ぎていくのだ。
そんな中、アンジェの様子が少しおかしいのに気づいた。
いつもの微笑が時折消えて、なにか考え込む時間が増えたようだ。
悩んでいる、といった様子ではなかったので僕もその事について彼女を問いただす事はしなかった。
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