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レイチェルとの別れが近いからだと考えていたから。
それが半分間違いだと気づいたのは、一週間後の事。
アンジェが突然僕に「聖地から暫く離れる」と言い出した。
教官としての仕事がある僕は聖地から離れられない。
つまりは一人でここからいなくなるということだ。
何処に行くのか尋ねても、理由を訊いても、
「たいした用事じゃない」「すぐに戻ってくる」と繰り返すばかり。
「女王陛下にはもう許可をいただいてあるんです。本当に、すぐに戻りますから」
誰が許可を出そうと関係ない。
アンジェが僕の側から離れるのは耐えられない。
だが、彼女はこうと決めたら、決して譲らない。
穏やかに見えるのに、芯の強さは誰にも引けを取らない。
そんなアンジェだから惹かれたのだ。
結局、折れたのは僕の方。
「いつ・・・戻ってくる?」
アンジェが居なくなって、僕は何も手につかない。
ドアを開けると、そこには彼女がいるような気がする。
無意識に彼女の姿を探してしまう自分に気づいて自重する。
久々に学習に来たレイチェルが呆れたように溜め息をついた。
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