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「良いよ。その条件、飲むから。」
「やった!じゃあ、教えてあげます。実はね・・・。」
「レイチェル、悪いけど、今日の学習は中断するよ。」
レイチェルは心得たように微笑みとウィンくを返す。
「アンジェの事、今すぐ追いかけたいんでしょ?行ってきて良いですよ。明日辺り、育成終わるんです。もの学芸館来る必要無いし、つまり、教官の仕事は終わり!」
感謝の言葉を残して、僕は学芸館を飛び出して行った。
数時間後、僕はある惑星に立っていた。
一年中霧のかかる惑星。僕の故郷。
生まれた場所も生んだ人も分からない僕の人生最初の記憶のある惑星。
ただそれだけだった。これまでは。
僕はある場所へと足を向けた。僕を育てた人の屋敷。
今では誰も住んでいない。
その人が亡くなってから、訪ねる事もしなくなった。古めかしい屋敷。
その屋敷の裏手にある小さな墓標の前に、僕の見慣れた、栗色の髪の少女が祈りを捧げていた。
その姿は絵のようで、一瞬、声をかけることを躊躇ったが、息をひとつ吐くと、呼び慣れた名前をささやいた。
「アンジェ」
彼女は嘘をつかれたように振り返ると、慌てて立ち上がった。
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