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「セ、セイラン様・・・!」
僕は、困惑しているアンジェの横に立つと、墓標に一輪花を供えて、短い黙祷を捧げた。
「セイラン様、どうしてここに・・・」
黙祷の間、身動き一つしなかった彼女が混乱しながらそんな台詞を紡いだ。
「レイチェルから聞いた。アンジェは霧の惑星に行ったってね。さて、説明してくれるかな。何しに来たのか。なんで僕に何も言わなかったのか。」
「レイチェルから・・・。それじゃ、全部お聞きになってないんですか?」
アンジェは頬を赤く染めて、顔を背ける。
「いや。彼女が話したのは君がこの屋敷に行きたがってたと言うことだけ。理由は君の口から聞きたい。それまでは誰から何を言われても信じない。だから聞いてない。」
しばらく沈黙していたアンジェは観念したように溜め息をつくと、言葉を紡ぎだした。
「セイラン様に話すとそんなの必要無いって言われるかもって思ったんです。でも、どうしても来たくて、だからレイチェルに相談して、この屋敷の場所を調べてもらって・・・」
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