第二章 一時保護施設(一時保護所)

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それから2~3日して、私と弟はまた呼び出された。 行ってみると、見知らぬ中年の男の人がいた。 「やぁ、はじめまして」 私と弟の行く施設が決まり、今日はその施設の職員の方が面会に来られたのだ。 私は今日も作り笑顔で対応した。 弟は無表情で私の隣に座っていた。 そして施設に行く日程が決まり、男の人は「楽しみに待ってるよ」と言って、帰って行った。 こっちは憂鬱だっつーの。 そして、荷造りのためいったん家に帰ることを許可された。 もちろん日帰りね 母親のいない私達のために、叔母さんが手伝いに来てくれた。 家に帰ると、家はあの日のままだった。 大好きな犬2匹が出迎えてくれ、兄が辛そうな表情を浮かべていた。 あ、兄はこの時17歳 ホントは兄も施設に行く予定だったのだが、犬と家を守るため家に1人残ることになったらしい。 「あやかちゃん、荷造り大丈夫?」 「はい、私は1人でも大丈夫なので弟をよろしくお願いします。」 私は自分の部屋に行くと、1番大きな鞄を取り出し、着替えやらなんやらを詰め込んだ。 一通り荷造りを終えると、私は自分のベッドで横になった。 懐かしい… 久しぶりの我が家 次はいつ帰れるのだろう? 不安で胸がいっぱいになっていたら、犬が私の部屋に入ってきた。 犬達は私に1番なついていてくれた。 いつも一緒に寝ていた。 犬達がいつものように私のベッドに入ってきて、私のそばで丸くなった。 この時、私は初めて涙を流した。 一時保護所に行ってから、1度も泣かなかった私。 ずっと我慢していた涙。 私は声を押し殺しながら泣いた。 どうして私がこんな目にあわなくてはいけないのだろうか? 犬達と離れるのが寂しくて仕方なかった。 私のそばで丸くなっている犬達はとても暖かく、安心した。 しかし、これからはこの暖かさがなくなってしまう そう思うと、涙はなかなか止まってはくれなかった。
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