第一章 それはいきなりのこと

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30分程して車が目的地に到着した。 そこは家庭子どもセンター(児童相談所) 略して児相である 私と弟は狭い部屋に案内され、中に入ると若い女の人と、中年の女の人がいた。 「いきなり連れてきてごめんなさいね。びっくりしたでしょ?」 ええ、ホントに。 「実は、あなた達のお父様からの依頼であなた達を保護します。約1ヶ月程、地下にある一時保護施設で生活していただきます。」 私と弟に拒否権はなかった。 弟は現状を理解できず、泣きながら私にひっついていた。 弟が泣いているから、「お姉ちゃん」の私はぐっと涙をこらえ、黙って女の人達の話を聞いていた。 児相には、実は以前来たことがあった。 そのときはカウンセリングで来ていて、全然心がすっきりしなかったので、もう来るのをやめていた。 まさか地下に一時保護所があるとは思ってなかった。 地下に降り、一時保護所の先生達が私達に施設の説明をした。 泣きやんではいたが、弟の顔には不安の二文字しかなかった。 こんな時でも、私は笑っていた。 精一杯の作り笑顔 ホントは泣きたくて仕方なかった。 でも、泣いてもどうにもならないという諦めが、私に作り笑顔をさせていた。 私の私物は全て没収され、服も下着から指定のものへと着替えさせられた。 ちなみに指定の服とは、ジーパンとトレーナー。 ジーパンだるぃ… そして私の一時保護所での生活が始まった。
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