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ポケットの中に手を入れ、中の物に手が触れた瞬間、それが何なのか目にしなくてもわかった。
フィルム。
佐和子は大切な物を取り出すようにそれを取り出し、オレンジのライトの下にそっと置いた。
忘れて行ったのだろうか。
それとも……
佐和子はフィルムを見つめたまま、いろんな思いを巡らせていた。
いつの間にか寂しくて心細かった気持ちは消えていた。
オレンジのライトに照らされたフィルムが、柏木の残してくれた足跡のようで、佐和子はそれを眺めながら、心地いい余韻で眠りについた。
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