戻れない時間

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直美が待ち合わせのスーパーに着くと、入り口でカゴを不安そうにぶら下げた佐和子が見えた。 「佐和子!」 直美が声を掛けると、思わず笑ってしまうくらい、手を振る佐和子の姿があった。 直美もそんな佐和子に同調するように、大袈裟なくらい手を振った。 スーパー内に入ると、直美が慣れた様子で野菜コーナーに向かった。 「どんな料理が作りたい?簡単なもの?カレーとか?」 佐和子は真剣な表情で何度も頷いた。 「カレーは作ったことあるからね、もっと家庭的な物!例えば肉じゃがとか……」 直美はクスクスと笑った。 「カレーが出来るなら肉じゃがもすぐ出来るよ。今日はもっと簡単に出来て、アレンジがきく物を作ろうか?」 「うん!お願いします」 佐和子の真剣な姿は、昔の自分を見ているようで、直美も新鮮な気持ちになれた。
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