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「ねぇ?それからご両親には会ってるの?」
佐和子の顔が一層険しくなった。
「祖母が二十歳の時に亡くなってからは、両親のこと全くわからないんだ」
直美は佐和子に気づかれないくらい小さな溜め息を漏らした。
「そうなんだ、意外だったな。佐和子の家族の話」
「そうかな……」
「うん、あんたって温かい家庭で育ちましたって感じの顔してるから」
「えー?それってどんな顔なのよー」
やっと見せた本当の笑顔に直美は安堵した。
「ねぇ、佐和子、ご両親はあんたを待ってるよ。きっと」
それ以上佐和子は何も語ろうとはしなかった。
ただ直美の顔を見て頷いていた。
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