出会い

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椋 「…大丈夫です…泣いていませんから…」 目を涙でうるうるさせて言うセリフでもないと思う。 とりあえず 目から零れてはいないから 泣いていないということにしよう。 朋也 「…まぁ忠告だけもらっとくよ」 椋 「あ は はい… でも できれば…遅刻しないようにして下さい」 藤林はそう言うと 上着のポケットからトランプを取り出した。 そしておもむろにぎこちない手つきで札をくりだす。 シュッ…シュッ…シュッ…シュッ…。 朋也 「…?」 シュッ…シュッ…シュッ…シュ――…。 椋 「あ…」 バララ…。 派手に床にばらまいた。 椋 「あ…あ…う~…」 慌てて床に落としたトランプを拾い集めると また札をくりだした。 今度はちゃんとくれたらしい。 藤林はトランプを不格好な扇状に広げると 俺に裏を向けて差し出してきた。
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