430人が本棚に入れています
本棚に追加
椋 「…大丈夫です…泣いていませんから…」
目を涙でうるうるさせて言うセリフでもないと思う。
とりあえず 目から零れてはいないから 泣いていないということにしよう。
朋也 「…まぁ忠告だけもらっとくよ」
椋 「あ は はい…
でも できれば…遅刻しないようにして下さい」
藤林はそう言うと 上着のポケットからトランプを取り出した。
そしておもむろにぎこちない手つきで札をくりだす。
シュッ…シュッ…シュッ…シュッ…。
朋也 「…?」
シュッ…シュッ…シュッ…シュ――…。
椋 「あ…」
バララ…。
派手に床にばらまいた。
椋 「あ…あ…う~…」
慌てて床に落としたトランプを拾い集めると また札をくりだした。
今度はちゃんとくれたらしい。
藤林はトランプを不格好な扇状に広げると 俺に裏を向けて差し出してきた。
最初のコメントを投稿しよう!