出会い

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朋也 「え…? なに…?」 椋 「…あの…どうぞ」 朋也 「…一枚選べと?」 椋 「さ 三枚選んで下さい…」 朋也 「………」 いきなりわけがわからん…。 手品でも見せてくれるのだろうか…? とりあえずトランプの束から三枚抜き取る。 椋 「見せて下さい」 朋也 「ほれ」 俺の選んだ三枚の札をジッと見つめる。 椋 「…あ…」 朋也 「ん?」 椋 「…岡崎くん…明日遅刻です」 喧嘩売ってんのか…こいつ…。 朋也 「あのなぁ 遅刻しないで来いと言っといてなんだそれは?」 椋 「あ…あの…学校に来る途中 横断歩道を渡れなくて困っているお婆さんがいて 手をかしてあげていたら遅刻してしまいます… でもたくさん感謝されて お小遣いとかもらえます」 朋也 「ちょっと待てっ! なんだその具体性抜群な占いは?! タロットとかならともかく トランプでそんなこと言われて納得いくか! 数字とマークでだけで どうやってそんな事態が浮かび上がってくるんだ」 椋 「お…乙女のインスピレーションです…」 第六感フル稼働だ…。 しかも言いきってるし…。 朋也 「…ひょっとして実は俺に学校に来てほしくないとか…?」 椋「そ…そんなことないです… ただ…占いでそう出ただけなので…」 朋也 「…わかった。明日は絶対遅刻しないからな」 椋 「え?」 朋也 「横断歩道でお婆さんが困っていても見て見ぬフリだ」 椋 「そ、それはよくないと思います… こ…困っている人は助けてあげないとダメだと思うんです…」 朋也 「いや 見捨てる」 椋 「でも…」 キーンコーンカーンコーン…。 椋 「あ…」
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