出会い

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春原 「ま 今度 空のテープ持ってこいよな」 朋也 「いらねぇっての…」 春原 「さて 昼まで寝て過ごすとするか…」 朋也 「おまえはさっきまで寝ていたんじゃないのか」 春原 「まぁね。でも 起きてても仕方ないじゃん」 朋也 「おまえ 生徒の鏡な」 春原 「じゃあ おやすみっ」 机に突っ伏す。 朋也 「ふわぁ」 眠気が移ったのだろうか 生あくびひとつする。 そして 四時間目の科目を 前の机の上見て確かめる。 あの薄い教科書は…英語のグラマーか。 当てられまくる授業だった。 朋也 (たるい…) 教室を抜け出し いつものように旧校舎の方に向かった。 足音を殺して 廊下を進む。 ここらの教室は ほとんど使用されていない。 申請があれば文化部の部室にあてがわれるが 実際は放置されている。 見咎められることなく 空き教室のひとつに潜り込んだ。 適当な椅子に座り 背もたれに深く体を預けた。 カーテンのない窓の向こう 代わり映えのしない空。 朋也 「せっかくサボって やることは暇つぶしかよ…」 自分の呟きが がらんとした部屋に吸い込まれていく。 こんな生活も いつか変わるんだろうか? 変わる日が来るんだろうか? そんなことを言ってた奴がいたな… 女々しい奴だと思ってから 自分だと気づいた。 俺は目を閉じた。
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