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何か見つけたらしい。
なぜかハサミを取り出した。
本のページに刃を当てて 何秒かの間動作を止める。
何かを念じるかのようだった。
そして じょきじょきじょき。
ためらうことなく 本を切り抜いていった…
朋也 「ちょっと待て こらっ」
思わず駆け寄ってしまっていた。
少女 「?」
手を止めて 俺の顔を見上げる。
なぜだか 彼女は素足だった。
上履きも靴下も 脱いだまま床に置かれている。
その周りに 彼女のものらしい巾着袋と本の山…
さらによく見れば どこから見つけてきたのかクッションまで敷いていた。
真剣なまなざしと 自分の家のようなくつろいだ格好が 不釣り合いだった。
朋也 「それ 図書室の本だろ?」
少女 「??」
何事か考える。
じょきじょきじょき。
少女 「はい」
切り取ったページの隅を新しく切って 俺に差し出してきた。
少女 「はしっこの方が おいしいの」
カステラか焼き豚みたいなことを言う。
朋也 「食べるのか あんたはこれを」
成り行きで受け取ってしまった紙切れを突きつけ そう訊いてやる。
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