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少女 「食べないの。ヤギじゃないから」
朋也 「そうだろうな」
少女 「紙 食べたい?」
朋也 「俺だって食べたくない」
少女 「お腹 空いてない?」
朋也 「いや。そろそろ腹は減ってきたところだ」
少女 「私も お腹梳いてきたの」
朋也 「………」
会話が噛み合っているようで 根本的にずれている気がする。
朋也 「とにかくだ
学校の本を切り取るのはどうかと思うぞ」
柄にもないが 一応説教しておく。
じょきじょき。
聞いちゃいなかった。
少女 「?」
朋也 「いや もういい。勝手にしてくれ」
渡されたページの切れ端を 床に放った。
ついでに 少女の周りに置かれている本をそれとなく眺める。
いちばん厚い本の表紙には 『宇宙物理学~その歴史と展望~』と書かれていた。
俺が読んでも 1行も意味がわからないだろう。
こんな図書室には似つかわしくないぐらい 専門的で高価そうな本ばかりだ。
よく見ると 『県立図書館蔵書』と印がおしてある。
朋也 「………」
そもそも学校の本じゃなかった。
朋也 「あのなあ…」
思わず髪をかきむしる俺。
朋也 「『みんなのものは大切に』って こどもの頃親に言われただろ?」
少女 「??」
また何事か考える。
巾着袋の中から なにか箱のようなものを取り出し ぱかっと蓋を開ける。
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