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ある日、ボクがいつも通る道を歩いてるとね。
道端にショートヘアの似合う小さな女の子がいたんだ。
女の子は、くりっとした目からポロポロと大粒の涙を流して泣いていたんだ。
なんだか気になって声をかけてみたんだ。
「ねえ。どうしたの?大丈夫?」
「大丈夫だよ。 ただ泣いているだけなの。 心配してくれてありがとう。」
「ねえ。どうして泣いてるの?」
「あのね。わたしが泣いているのはね。 世界にはね。 いっぱい 哀しいことがあるでしょう。
そんな哀しみ達の為に私が代わりに泣いてあげているの! とっても哀しいことだもの。」
「へぇ。そうなんだね。 でもさ。キミが代わり泣いたからって、なにかが変わるわけじゃないでしょう。 」
「そうだよ。泣いたからって哀しみが減るわけじゃないけど哀しみたちと一緒に泣いてあげたいの。
哀しい想いが生きる力に変われるように信じたい。 それで少しでも前に進めたらいいなって思うの 。」
「そうなんだね。 そういうことならボクも 一緒に泣いていいかな。 」
「本当に?」
「うん。本当だよ。」
「ありがとう。」
女の子の顔が パッと明るい笑顔になったんだ。
ボクは、とっても嬉しくなったんだ。
でね。ボクは女の子と一緒に世界の哀しみ達の為に泣いたんだ。
するとね。とっても哀しい気持ちなって涙が止まらなくなったんだ。
涙が渇れてしまうんじゃないかって心配したけれど
涙は渇れるどころか、どんどん、どんどんと溢れてくるんだ。
だってさ、この世界はね。
ボクらが思う以上に哀しいことが、いっぱい、いっぱい溢れていたんだ。
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