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澄み渡る青空。春の暖かな風が金色の髪を優しく撫であげる。最近の幼稚園は、何だか嫌だった。
「魔理沙、一緒に遊びましょう?」
「おぅ、良いぜ。」
「パチュリー、駄目ーっ。魔理沙は私と遊ぶの。」
「先に声掛けたのは私よ?アリス。」
「駄目ったら駄目なの。魔理沙といつも遊んでるのは私なんだから。」
「何よ。お人形遊びしか出来ないくせに、お漏らしアリス。」
「Σふぇ…!?な、何よ!一人で本ばっか読んでる根暗パチュリーのくせにっ。」
「…根暗じゃないもの…。身体が弱いから、お外で遊べないだけだもの……ふぇ…えぇえん…。」
「Σ…あ!!あの、ご…ごめ……。」
「アリスッ、今のは良い過ぎだぜ?泣かせる事はないだろ?」
「さ、最初に言ったのはパチュリーなのに。何よ…魔理沙の馬鹿っ、もう知らにゃい!!」
私は教室を飛び出して駆けた。パチュリーの泣き声が届かない所まで。先程噛んだ舌が少しだけ痛かった。
「何よ、全部私が悪いみたいに…。」
潤んだ瞳を空に向ける。雲が空を包み、真っ白だった。手の甲で瞼を擦ると、少しだけ涙が出て来た。パチュリーの泣き顔は…ほんの少しだけ私の心を痛めた様だった。
「アリス、大丈夫?」
お節介だけど優しい霊夢だ。
恐らく私を追い掛けて来たのだろう。
「ん…。」
グシグシと目を擦ると霊夢が心配そうに私を見て来た。そして私の頭を小さな掌で優しく撫でるのだ。
「よしよし。泣かない泣かない。」
其の掌は温かくて、まるで母親の様だった。
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