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「あった…!」
上海が出て来たのは砂場の中だった。
雨が降り出して居たので、少し濡れて砂で汚れていた。
「…洗えば大丈夫よね。」
立ち上がって振り向いた瞬間だった。
ドンッ
と、目の前から押された私は砂場に尻餅をついた。
「…何するのよ、魔理沙。」
「…何でだよ。」
「それは此方の台詞よ!上海を砂場なんかに埋めてッ、汚れたじゃない!」
「何で霊夢とばっかりつるむんだよッ!!」
「…え?」
「何で最近私を避けるんだよ!」
「それは…。」
「何でお昼も一緒に食べてくれないんだよ…。」
「…だって…。」
「だって、何だよ。言ってみろよ、アリス!」
「きゃあッ…──」
私は砂場に押し倒され、両手首を砂に押し付けられた。
雨が強く降り始める。
私の頬にも雨粒が落ちて来た。
「──…魔理沙、泣いてるの…?」
彼女の見た事もない顔だった。いつも笑ってる彼女の…初めての弱々しい表情だった。
不意に手首の拘束が取れる。起き上がると真っ直ぐ彼女を見つめた。
「…私、霊夢に嫉妬してたんだ。アリスが私以外の奴と…一緒に遊んでて、楽しそうだったから…。」
「……なんて、ないわよ。」
「え?」
「楽しくなんてないわよ!魔理沙が傍に居ないのに、どうやって楽しむのよ!」
「アリス…。」
「ずっと寂しかったんだから!何が焼きもちよッ。妬いてるくらいなら取り返せば良いでしょう!?」
「…あ…。」
「馬鹿よ、魔理沙の馬鹿ッ。馬鹿馬鹿…!」
「…アリス、ごめん。ごめんな…?」
彼女の細腕が私を抱き締める。
そして──
チュ…。
彼女の柔らかな唇が頬に触れた。
そしてニッコリ笑って言うのだ。
「アリス、私はお前が好きだ。」
いつの間にか、夕立は過ぎて夕焼けが雲の隙間から顔を出して居た。
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