私が本を好きになったわけ

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祐司…本当にあなたは、いつもでも、そうだった。出逢いも突然だったけれどね。別れまでなんて! 私の前から永遠に居なくなったあの激しい雨の日、 突然、鳴りだす携帯そして、伝えられた事実、 祐司がバイクで事故を起こして、病院に運ばれたって…、 そして、そのまま亡くなってしまったこと。 駆けつけた病院の暗く冷たい霊安室で最後に見た祐司の青白くなった顔をみたら、気がついたら溢れる涙で溺れてしまうぐらいに、いっぱい、いっぱい泣いたんだよ。 まるでドラマみたいで全然、信じられなくて、『嘘だ。嘘だ。』何度も、何度も叫んでいた。 祐司が亡くなったことが信じられなくてポッカンと1人真っ暗な私の部屋の中で私はただ、後悔していた。もっと自分に素直になれば良かったって、もっと、もっと、貴方のそばに居たかったし、私のそばに居てほしかった。 どれぐらい時間が経ったんだろうか。 月の光が窓から差し込んで私を優しく包んでくれた。祐司がいつも、私を抱きしめてくれたように、 悲しみの中で貴方を感じながら、ふと私は机の上に置きぱっなしになっていた祐司の本を手にしてた。少し日焼けした表紙には何度も読み返した後が残ってた。何カ所かページの角が折られていた。そっと本に顔を押し付けた。 微かに祐司の匂いがした気がした。祐司が残してくれたたくさん本を私は初めて読んでみたんだ。ゆっくりと少しずつページを捲る。祐司に語りかけるように すると、あれだけ泣いて渇れてしまったんじゃないかって思っていた涙がまた溢れだし止まらなくなったんだ。 でもね。不思議なんだよ。 あなたを亡くした悲しみの涙じゃなくて なんだろう。すごくココロが熱くなったんだ。 温かい涙が流れるってことをあるんだね。 こんなの初めて知ったよ。 これで初めて、 あなたに 感想が言えるね。 『ありがとう。祐司…』って 貴方はいつも、私のそばにいるんだね。 ほら、今も…
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