美嘉

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「俺、エスキモーになりたい」ヒロキさんが急に言った。 「捕れたてのアザラシをさ、がーってさいて」 私は生温かい血がどくどくするのをみた。そして自分の首筋がどくんどくんするのがわかった。 「腸の中身をすするのが格別らしいんだ。鱈の塩辛みたいらしいよ。鱈が餌だから」 鱈の塩辛なんか食べたことがないからわかんなかったけれど、どろどろとしてねばついた感じは想像できた。 「気持ちわるい」 私は言った。
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