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中学を卒業して
三年がたった。
母はもう、ほとんど家に帰ってこなくなった。
たまに帰ってくる時は
いつも、
体中にタバコの匂いが染み付いていた。
母はタバコは吸わない。
おそらく男だろう。
ずっと、
いろんな男と遊び歩いているのだろう。
それなのに、
母はいつも寂しそうだった。
そのくせ、私には
一切接しようとしない。
「私」など、
初めから存在しないような感覚さえ生まれる。
私と母は
「ひとり」と「ひとり」で
「ふたり」になることは
無かった。
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