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「ねぇ、稲穂」
教室に戻る途中の廊下。
ふと瑞希が歩きながら口を開いた。
「ん?
なに?」
「僕は稲穂を愛してるよ。
この先もずっと稲穂を守ってあげるからね」
「うん、そっか………………って、えぇぇぇえぇ!?」
あまりにさらっと言われて聞き流すところだった。
でもね、本当はすっごい嬉しいんだよ?
当たり前のように言ってくれる瑞希の甘い言葉は、あたしを幸せにしてくれる魔法みたい。
恥ずかしくて素直になれないけど、あたしも瑞希の事、好きって言葉だけじゃ足りないくらい想ってるから。
………たまには素直になってあげようかな…。
「……あたしも瑞希を愛してるからね?」
「うん、知ってるよ」
チラッと横目で見た瑞希は、まるで子供みたいに目を輝かせて……少し頬が赤かった。
そんな瑞希を見ていたら、たまには素直に言ってもいいかなぁ…なんて思ってしまった。
END
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