末期。

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どうしようもない。 こんなに好きになったのは初めてで。 しかもその相手は可愛いげのない男で。 あぁ、どうしようもない。 昨日は日曜だった。 俺は一日家で過ごした。 誰とも連絡をとらず、一人で。 月曜。 案の定あいつが俺につっかかってきた。 その必死な顔でさえ欲情する。 …ほんと、どうしようもねぇな。 あまりに可愛くて、からかうと動揺を見せる。 無防備なんだよな。それ。 思わずキスしてしまった。 「ん、…ふ、ッッ、」 苦しいのか、何度も背中を叩く手。 可哀相だと思うのに、離してやれない。 まだ、俺はこの感触を楽しみたかった。 「…っは、はぁ、はぁ…」 ゆっくり唇を離すと、涙を浮かべた目できっと睨む。 精一杯睨んでいるつもりかしらないが、誘っているとしか言いようがない。 「何?誘ってンの?」 口端を上げて笑う。 すると真っ赤な顔をして、眉を寄せる。 あぁ。もうどうしようか。 どうしようもないことはわかっている。 だから俺は、こいつをどうかしたいんだ。 あれから何分たっただろう? 足元には踏まれた吸い殻。 そして、手には煙草。 昼休みは終わったような気がする。 「…仕事、しねぇとな…。」 ぼんやり空を眺めて煙りを吐き、あの後駆けて行った後ろ姿を思い出す。 そんな些細な出来事で熱くなる身体はもう末期なのかもしれない。
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