第一章・鈴木五郎

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が、全力で追いかけた。 「中山くぅううううぅぅぅうん!!!!」 「げ!」 「何故だー!何故なんだー!」 中山君、何故なんだ。 僕や君のような優秀な人間が一堂に会し、運よく一年ズレて産まれたのは、運命だと思っていたのに。 もし同じ年に産まれていたら、生徒会長の座を奪い合うようなライバルとなっただろう…… ただ、一年彼が後輩だからこそ、僕が部活や生徒会を引退したら、中山君に陸上部部長の座だろうが、生徒会長の座だろうが、渡して行くのが自然な摂理だと思っていたのに。 ……やはり僕は200メートルの選手。長い距離を走るのなら、中山くんに追い付く事も可能だ。 「中山君、行っちゃ嫌だぅぉぁあああ!!!」 僕は、泣いていた。 中山君、君はそれほどまでに素晴らしい後輩だ。
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