珍事件発生。(あのね、珍しい事件のことね。ウン。)

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「っだぁっ!!」 「あ、起きた」 「あ、起きた。じゃねぇ!!」 こいつ、俺の髪の毛一気に15本ぐらい抜きやがっだぞ!! 詩園の指先には毛束が……。 「いてぇだろ!!つか、はげるから止めろ!!」 「だってぇ……」 「『だって~』じゃねぇよ!!だって、どうせ、でも、だけど、の後にはくだらない言い訳しか来ないんだよ!!」 って中学のとき先生が言ってた。 『だって~』の所、詩園の声色を真似てみたが、我ながら気色悪かった……。 無かったことにしよう。 「で、何の用だ?」 「……暇ぁ」 「………………」 泣かすぞコラァ!? そう考えて詩園の目元を見ると、涙がうっすら浮かんでいた。 あぁ、さっきのアレ、本当泣きそうだったのか。 いやいや、むしろ俺が泣きそうだよ……。 怒っていたはずが、溜め息しかでなかった。
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