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『お母さん、情けなくなっちゃってね…春美がお母さんみたくならないようにお父さんにお願いしておいたの』
「…何を?」
私は無意識のうちに映像の母に問い掛けてしまった。
『お父さん…急に厳しくなっちゃったでしょ?家事をやれっ!って。それねお母さんが頼んだの、春美がお母さんみたいに家事の出来ないお母さんにならないようにって』
私は母の言葉を聞いて呆然とした。
『でもね、迷ったの。お父さんも巻き込んじゃっていいのかなって。お父さん、春美には甘かったから…』
母は苦笑いを浮かべて続けた。
『そうしたらお父さん、何て言ったと思う?春美が幸せになれるなら心を鬼にする!例え嫌われてもいい、立派な子に育てる!って言ったのよ?お父さん…熱くなりすぎちゃって逆に心配だったわ…春美?無理はしなかった?大丈夫だった?』
「うん…大丈夫だよ…」
私は込み上げてくる物を抑えられなかった。
私は勘違いしていたんだ…父の事を。
『辛い思いさせちゃったよね?それで…お父さんの事嫌いになっちゃうんじゃないかって心配だから言っておかなくちゃと思ってね…』
私は何も言わず首を振った。
『きっとね、春美も辛かったと思うんだけど…お父さんも辛かったと思うの、可愛がってあげたいけど私がこんなお願いしちゃったから…だからお父さんを嫌いにならないであげてね?春美の事を誰よりも一番想って、誰よりも愛してるのはお父さんなんだから、ね?お願いよ?』
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