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言うが早いか、少年はその場から姿を消していた。
「なっ!? 何処へ!?」
突然少年が消えた事に動揺するエリス…それと同時にノウェは叫んだ。
「マナっ!」
だが声が届くのは遅かった、マナはその場に崩れ、マナの後ろに立っていた少年が現われた。
「昔の方が強かったんじゃないか? なぁ、赤き目の聖女よ」
「か…はっ…」
少年に話し掛けられたマナは呼吸がままならなかったのか、苦しそうに咳込んだ。
「やぁあぁぁっ!」
掛け声と共にエリスが少年に向かって走った、その手にはエリスの武器、槍が握られており、あの構え方から「破邪切り」をするつもりだろう。
「やめろエリス!」
エリスはノウェの制止の言葉を聞かず少年に槍を向けた。
「…一度は女神に選ばれたとて、所詮は人間か…」
少年は避けるでも無くその場に立ち、溜め息を吐いた。
「やっ!」
エリスは槍を振り上げた、その槍の先は少年の首に向けられていた。
「ッ!?」
少し離れた場所から見ていたノウェは驚愕した…いや、一番驚いたのは本人だろう…振り上げられた槍の刃先は、少年の掌で止まっていた、その手には傷一つ付いていない…。
「ふん…」
少年は嘲る様に鼻で笑うと、そのまま槍を握り…破壊した…。
「そんな…有り得ない…」
困惑するエリスに少年が手を上げようとした時、ノウェは剣を構えて少年に突っ込んだ。
「はぁぁ!!」
少しでもエリスとマナから離そうと、一心不乱に剣を振る。
「封印の剣…封刃・破天の鳴弦か…」
攻撃を受け流しながら、ノウェの振る剣の名を言う。
「という事は、ヴォルタイクフィーラーか…」
少年が言ったのは魔法の名だ、各武器に備わった力。
「確かに強い魔法だ…だが、その魔法は周囲一掃魔法だ、この場には向かない」
ヴォルタイクフィーラーは周囲の敵を魔法弾で吹き飛ばす魔法だ、一点集中での攻撃は出来ない。
「あぁ、確かにそうだ、だから狙う場所のコントロールくらい出来る様に練習したさ!」
「そうか、ならばやってみろ」
少年はノウェの言葉に驚くでも無く、冷静な口調で術の催促までして来た。
「はぁぁぁっ!!」
ノウェは少年の言葉など関係無く魔法を使った。
「ヴォルタイクフィーラー!」
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