使者

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 ノウェの掛け声と共に多数の光の球が現われた、その球は一瞬は辺りに飛び散ろうとしたが直ぐにその動きを止め少年に向かって飛んだ。  「ほぅ…やるじゃないか」  少年は嬉しそうに笑い声を漏らしたが、すぐにその微笑みを止め右手を上に上げた。  「だが、まだ甘い…」  「なッ! まさかお前!?」  叫んだノウェの予感は的中した…放たれた魔法弾は全て彼の手に向かって飛び、そして消えた。  「返すぞ」  少年はそう言うと手をノウェに向けた、そして向けられた掌から先程消された魔法弾が飛び出して来た。  「ぅ…くっ…!?」  突然で反応の遅れたノウェは最初の数発程、魔法弾をまともに喰らった。  「かっ…はッ…」  「やはり生身ではこの程度のモノか…」  苦しむノウェを余所目に少年は呟く。  「覚醒しろ真人類、解っているのだろう? 普通の貴様では勝てないと」  少年がノウェを見下し言った。  「覚醒しないと言うのなら…」  それだけ言うと少年が視界から突如消えた、ハッとしたノウェはマナとエリスの方を向くとそこには彼の姿が在った。  「この二人を殺す」  少年は掌から彎曲した内側に刃の付いた兇器を出し、倒れたマナに向けていた…エリスは今、気絶させられたのだろう俯せになったまま動かない。  「うぁああぁぁ!!!!」  気付けば考えるよりも早く体が動いていた、叫び声を上げながら少年に飛び掛かる…。  「感情的になるな、足を掬われるぞ」  少年は思い切り良く振られた剣の力を殺ぎ、受け流す様に止めると剣を弾きノウェを殴り飛ばした。  「ノ…ノウェっ…!」  意識を取り戻して起き上がったマナが、軽く三、四メートル以上は飛ばされたノウェを案じて声を上げた。  「真人類、覚醒しろ」  少年は再度ゆっくりと、そして強く言った。  「………」  立ち上がったノウェは暫く黙ったままマナを見詰め…。  「マナ…今助けるから」  マナに微笑み掛け、少年に向き直り睨み付る。  「全力で行く」  「俺を前にして、最初から手加減する方が愚かだ」  ノウェの言葉を聞き少年は嘲笑う。  「………」  ノウェは無言で睨み…覚醒した。  「さぁ来い、その力を見せてみろ」  そして、そう言う少年に切り掛かった…。
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