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病室の女の子が一人退院した
すぐ後に40歳くらいの人が旦那さんに連れられて入院してきた
ご夫婦は一人づつに『よろしくお願いします』と挨拶しにきた
私ののところにも来て『青山です、よろしくお願いします』と頭をさげた
すごく顔色は悪かったが笑顔のステキな人だった
ある夜青山さんはひどい発作を起こして看護婦さんが走ってきた
注射を打って落ち着いたのかすぐに眠ったようだ
私も始めはあんな夜が何日も続いたからよくわかる
旦那さんは仕事帰りに毎日病院に寄っていた。そんな時、一人の年配のおばさんが一緒に旦那さんとやってきた
どうやら旦那さんのお母さん…『あなたがこんな病気になって、すごく世間体悪いの。子供もいないから離婚の話しすすめていいかしら?』
あらげた口調ではなかったけど厳しい言葉だった
多分他の女の子達にも聞こえてるはず…
優しい旦那さん…一言も言い返してくれなくて、私はびっくりした
青山さんは『はい…皆さんにも迷惑かけてますから、きちんと考えます。退院できるまで待ってくれますか?』と今にも泣きそうな声で答えた
私は体が震えた…カーテンから覗いた旦那さんの顔は落胆した顔だった
二人が帰ったあと、青山さんは病室を出て行った
心配になって私も後をついていった自販機でコーヒーを買うと待合室で椅子に座ってため息をついていた
私も自販機でコーヒーを買うと青山さんの隣に座った
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