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あたしは固まり、頭が真っ白になった。
「杏那?」(陽)
不思議顔で陽良が近づいてきた。
「?僕に声をかけたのでわないのか?」
「………さぁ‥ね?」
もう一人、男の人がいる…
その人の声は、低いけれど、あたしの耳に優しく入ってきて、少し落ち着きを取り戻した。
「す‥すみません、声をかけました。」(杏)
階段の上を見上げると、同じように上から覗き込む顔が2つ。逆光で顔まではハッキリ見えないでいた。
「……………」
「…晃平…」
「…シッ…」
「あ‥あの、あたし、今日入学してきました、宮沢と言います。」(杏)
「…宮沢さん?どうかしたのかな?」
頬にかかった髪を耳にかけ、優しい物言いのその人にホッとして、言葉をつづけた。
「あたしたち、クラスの場所がわからなくて…1―Eって、どの校舎でしょうか?助けてください。」(杏)
「………ただの迷子か…」
眼鏡のフレームが光って、呆れたような、冷たい声が響いた。
うっ…その声で言われると、グサッと胸に刺さる気がします…
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