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腕を引っ張りながら、松川さんの納得いく言葉を探していたら。体育館の方で、女の子たちの黄色い悲鳴が聞こえてきた。
「キャーッ!?リュウ様~っ!」
「晃平様~っ!こっち向いて~っ!?」
………なんだ?
「え!?リュウ様!」
「晃平様も!」
あたしの周りにいた女の子たちが、その黄色い声に引き寄せられるかのように走って行ってしまった。
「…リュウ?」(陽)
「…なんなんだろうね?」(杏)
一気に誰もいなくなった校門前に、あたしと松川さんは目を丸くしたまま固まってしまった。
「…1年生は中庭。」
「ひゃっ!?」(杏)
いきなり後ろから声がして、驚いて振り返った。
そこには、前髪を赤いゴムで結(ゆ)わえた、カッコ可愛い男の子が立っていた。
「…え?」(陽)
松川さんが聞き返すと。
「だから、1年生は中庭だって!クラス表が貼ってるから、早く見てきなよ。」
………あぁ!教えてくれてるんだ!?
「ありがとうございます!中庭に行けばいんですね。」(杏)
あたしがそう言うと、その人はニッコリ笑って頷いた。
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