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ある甘味処に、団子を幸せそうに頬張っている少女がいた。
端から見ればどこにでもある光景、だが彼女の姿に人々は異様だ。という目付きで見ていた。
「隣、いいですか?」
そんな少女に話し掛けたのは一見女に見える青年。少女は団子から前に目線を変えた。
その青年は武士なのであろう。腰にはしっかりと刀があった。
「どうぞ」
少女は無関心そうに言うと少年が座れるように席を開けた。
「ありがとうございます。ここのお団子を食べたくなってしまったんですけど混んでいたので…」
「別に構いませんよ」
「私ここのお団子は絶品でよく食べに来るんです」
「ふーん」
にこにこと話し掛ける青年に少女は無機質に相づちをうつが、少年の質問はまだ続く。
「あなたはどこから来たんです?」
その質問に少女は一瞬だけ眉を寄せると冷たく答えた。
「どこからでもいいでしょ」
「教えてくれないんですか?」
「どうして他人に教えないといけない」
「…そうですか。ならこれだけは教えてください。
なんで刀を持っているんです?」
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