第1話

3/5
前へ
/174ページ
次へ
そうなのだ。 今の少女の格好は袴を履き腰に刀をさしていた。 少女は愚問だと言わんばかりに答えた。 「可笑しなことを言うんですね。人を斬るためですよ。それ以外に刀の使い道があるんですか?」 その答えに驚いたのであろう。 青年は目を見開き、少女を見た。 「女性なのに人を斬れるのですか?」 ピタッ その言葉に少女は団子を食べようとした手を止めた。 「……か…………なぃ」 「え?」 「馬鹿じゃないの。女だからと言って人を斬れないとでも?」 低い声と軽蔑するような瞳で少女を怒らせたことが分かった。 「い、いえ。珍しかったので。 機嫌を損ねてしまったらすみません」 少年は素直に謝った。 その行為に少女は少なからず驚いた。 「…いえ… 素直に謝ったのでいいです」 少女はそう言うとお団子を食べはじめた。 それに安心したのか、青年も先程のような笑顔でお団子を食べはじめた。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3092人が本棚に入れています
本棚に追加