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呼び出し音の代わりに、竜介の好きな女性ボーカルの曲が流れる。
甲高い声が耳に響くが、竜介はなかなか出ない。
その曲も終わりに差し掛かったとき、いつもより少し掠れた、だけど訊きなれた声が届く。
「ふぁい…」
「もしもし!?俺!!」
「あ、勇太?どうしたぁ?」
昼寝中だったのか、竜介の声は眠そうで、間延びしている。
「何、寝てんだよ……。
まぁいいや。
おまえさ、同窓会あるの知ってた?」
「同窓会?なにそれ?いつの?」
「中学だよ。
俺もさっき知ったんだけど……」
「知らねぇよ、同窓会なんて」
何度も竜介の家を訪れている勇太は、彼の部屋のポストも自分のそれと似たりよったりな状態であることを知っていた。
「案内状がきてんだよ!
いいからおまえ早くポスト見ろ!」
「あぁ?……なんだよぉ。
わかった、今見てみるからちょっと待ってろ」
勇太に急かされ、寝起きの竜介は不機嫌そうに答えた。
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