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竜介を待ちながら、勇太は煙草に火をつけた。
受話器越しに、ガサガサと何かを探っている音がする。
「あ、これかな?
なんか白い封筒あるけど?」
短くなった煙草を、吸殻の溜まった灰皿に押し付けながら勇太が答える。
「おう!それそれ!
開けてみ?」
「わかった、ちょい待ち」
勇太が冷蔵庫に手を伸ばす。
中から冷えたビールを取り出すと、一気にプルタブを押し上げた。
プシュっという音が響く。
「あ、おまえビール飲んでるだろ?」
竜介が耳ざとくその音を聞きつける。
「うるせぇよ。
それより中見たのか?」
「ああ、見たよ。
確かに同窓会の知らせって書いてあるわ」
「おまえ出席すんの?」
「あー…どうしよっかな…」
竜介は答えを濁す。
こういう時、竜介が何を考えているのか長い付き合いの勇太は知っていた。
ビールを一口含むと言った。
「おまえが行くなら俺も行くよ」
勇太がそう言うと、答えはすぐに返ってきた。
「なら俺も行くー」
良くも悪くも勇太と竜介はいつも一緒なのだ。
こういう場合、片方が答えを出せば悩んでいる一方はそれに同意する。
長年共に過ごしてきた二人の間にはそんな関係が出来上がっていた。話がまとまったところで、電話を切ろうとした勇太に竜介が言う。
「てか、おまえ飲んでるならとりあえずおまえんち行くわ」
今日は大人しくしているつもりだったのだが、竜介に言われれば仕方が無い。
勇太は仕方なしに了承する。
「わかったー、待ってるわ。
あ、おまえ同窓会の返信ハガキ持って来いよ?
明日一緒に出しに行こうぜ。
まぁ、明日出しても31日に着くかわかんねぇけど、なんとかなるだろ」
勇太はそう言い、竜介の返事を待たずに電話を切った。
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