第13章:解き明かされる真実

26/29
前へ
/254ページ
次へ
沙織の話を聞きながら、龍太郎は頭がおかしくなりそうになった。 耳を塞ぎたくても両手を縛られているから出来ない。 大声で遮ろうにも声が出ない。 沙織のおぞましい話を最後まで聞かされた龍太郎は、ただ呆然とそこにいるだけだった。 沙織の手が伸び、龍太郎の頬に触れる。 触れながら、龍太郎の胸に頭を乗せた。 「やーっと終わったの。 私の復讐。 早くここから出てお祝いしようね」 沙織は甘い声で言う。 「ふく…しゅう…って…なんだ…よ…」 やっとの思いで搾り出した声は、本人が思っている以上に震えていた。 龍太郎には、沙織の言う復讐の意味がわからなかった。 百歩譲って柏木弓乃に対する恨みつらみはわかるとしても、ほかの人間に対する復讐心の根源は、まったく思い当たる節がない。 龍太郎の胸に頭を寄せたまま沙織は、少女のように話し出した。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4044人が本棚に入れています
本棚に追加