4044人が本棚に入れています
本棚に追加
沙織の話を聞きながら、龍太郎は頭がおかしくなりそうになった。
耳を塞ぎたくても両手を縛られているから出来ない。
大声で遮ろうにも声が出ない。
沙織のおぞましい話を最後まで聞かされた龍太郎は、ただ呆然とそこにいるだけだった。
沙織の手が伸び、龍太郎の頬に触れる。
触れながら、龍太郎の胸に頭を乗せた。
「やーっと終わったの。
私の復讐。
早くここから出てお祝いしようね」
沙織は甘い声で言う。
「ふく…しゅう…って…なんだ…よ…」
やっとの思いで搾り出した声は、本人が思っている以上に震えていた。
龍太郎には、沙織の言う復讐の意味がわからなかった。
百歩譲って柏木弓乃に対する恨みつらみはわかるとしても、ほかの人間に対する復讐心の根源は、まったく思い当たる節がない。
龍太郎の胸に頭を寄せたまま沙織は、少女のように話し出した。
最初のコメントを投稿しよう!