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龍太郎は泣いていた。
悲しいのではない。
怒っているのでもない。
ただ虚しさとやり切れなさがこみ上げてきて涙が流れた。
沙織の言っていることは、コドモじみたわがままだ。
好きな男の子をほかの子に取られたから…
遊びに加えてもらえなかったから…
自分以外の子だけが特別扱いされていたから…
そんなのただのわがままに過ぎない。
龍太郎が好きだったのならば、そう言えばよかった。
遊びたいのならそう言えばよかった。
みんなが蓮のためにしてきたことは、特別扱いなんかじゃない。
当時の彼らにとってそれは至極当然のことだった。
なのに、そんなことを理由に人を…
同級生を殺すなんて…
「もういいよ…
もういいよ沙織…
わかったよ…」
龍太郎は涙声で沙織に問いかけた。
「いいよ、一緒に行こう…」
涙でぬれた顔のまま龍太郎は笑った。
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